道場入門夕べの穏やかなる最後の晩餐と家族のまどい

何やかやで荷造りはホームセンターに行かずとも有り合わせのものだけで事足りてしまった。
 父親が戻るとボクはほんとに、明日から道場で寄宿やる考えを話した。
「しつこいようだが、くれぐれも第三者に不具合だけは掛けるな」
当然、真には釘を刺されるのみだったが、ボクは昔から乳幼児の魂胆を八、九聞かぬ父親の小言を逐一まさに受けないことにしていた。それほどでもしないことにはやっていけないからです。
「にしても、Iが農業ですなんてね」
 父親とは訳系に、母親は私の入門に対してはほとんど認識の方針のようだ。
「俄かには信じ難いお喋りですな」
 父親の意地悪をよそに最後のミールを平らげたボクは、慌ただしい足取りで銭湯へ通うと風呂に潜った。
見上げた限界のはるか先に、これからのくらしが漠然と浮かんでいた。
 風呂上がりにリビングを横切ってクラスの皆さんへ通うと、父親がいまだに新聞紙と格闘し、眉を顰めている。見る限りでは多分世間要所の政治欄だろうか。さっぱりと見飽きた風景だが、父親の荒々しい外見を目の当たりにする度にまだ緊張して仕舞う自分がいる。tbc オトコのヒゲ